軽業師は新撰組隊士!
3:鳥は澄んだ青空を
そして、次の日の昼過ぎ。
楓はまた土方の部屋へと来ていた。
そこには、沖田、藤堂、原田、永倉もいた。
「あのー…、何の御用でしょうか?」
「あ?あぁ、お前を何番組に入れるか、でな。」
土方の答えに、なんとなく背筋がピンとなるのを感じる。
自分のこれからを、今決めるのだと思うと、期待より不安の方が勝った。
「一番組に入れば、僕が守りますよ、ねぇ?楓。」
「え?はい、…あ、でも私も守ります。」
「あれ?総司って楓のこと呼び捨てだったか?」
藤堂の言った言葉にみんな「あ。」と気付いたようだ。
昨日まで、楓さんと呼んでいた沖田が自分のことを楓と呼んだ。
「沖田さん?」
「なんですか?あぁ、僕のことは“総司”と呼んでもらって構いません。」
ニッコリと、それでも昨日までの冷たい笑顔ではない、温かいそれだった。
「えっと、じゃあ……総司さん。どうかしたんですか?」
「?何がですか?」
「いや、私の呼び方…です。」
楓がそう言うと、ぽんと手を打って、
「気が変わったんです。」
そう言って、また笑った。