feel〜優しい体温〜
トントン……


クソッ……追い付かれた……。


\オイ、逃ゲル事ナイダロ?!


俺は呼び止める手を振りほどいてその場を去ろうとした。が……


\イツマデソウヤッテルツモリナンダ?オ前ニハヤラナキャイケナイ事ガアルンジャナイノカ?


こいつはオーケストラ時代の同期、リョウタ。心配してんだか何だかわからんが、ハッキリ言って迷惑だ。


−逃げる?別に逃げちゃいねーよ。俺なんか居てもどうせ邪魔になるだけだろ?


−そういった意味じゃ、俺はやるべき事をやっている。"お前らの邪魔をしない"って事でな。


\……オマエ変ワッタヨナ。耳ガ聞コエナクナッタセイデ、随分ヒネクレタ。マァイイ。オマエノ音ヲ待ッテル人ガ沢山イル。イツデモ戻ッテ来イ。


前にも言ったが、この性格は昔からだ。障害のせいなんかじゃねぇ。


それに、俺をこんな風に追い込んだのはリョウタ……テメェだろ。


正直言って、アイツに会い、アイツの顔を見るだけで、異常に疲れる。


はぁ……今日は飯いらねぇな。風呂入ってすぐ寝よう。


起きている事すら辛い……


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