feel〜優しい体温〜
手……貸せ。


「グイッ!」


「え?何?!」


ハルトさんが私の手を取って……何だろう……文字書いてる?


「ケ・ン・タ・カ・エ・ッ・タ……え?帰ったの?!どうしよ……」


ってか、手……おっきい。こうして男の人に手を握られるの何年ぶりだろう……。


−アンタ、家どこだ?


「どこって、すぐそこだけど……てかアンタって……」


−名前、聞いてねーから。俺の名前は知ってんだろ?そっちも聞かせろよ。


「あ、そっか。私ヒカリ!」


−ん?イカリ……怒り?


「違う!ヒ・カ・リ!」


−あぁ、シカリね。


「んな名前あるか!そっちも手ェ貸して!」


−ヒカリか。ま、どーでもいいけど。一応送ってくよ。


「ムカッ……ホント性格悪ッ。でも、一人で帰るのも淋しいし。お願いしよっかな……」


−ちげーよ。淋しいとかじゃなくて、もう夜だからだよ。


「へ?!いつの間に?!」


−とっくにだよ。……帰るぞ。


「あ、うん……」


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