feel〜優しい体温〜
−二年前の夏−


「いやいや、疲れたな!ハルト、ジュカ、お疲れさん!」


「あぁ、今日のリョウタ、相当ノッてたな。身体振りすぎて、バスクラ壊れそうだったぞ」


「ハハハ!この三人でやるアンサンブルは最高だからな!ジュカもそう思うだろ?」


「そうね!昔から良く組んでたから意気も合うし。それより、子供達の喜んだ顔みれて良かった!」


「俺は二度とゴメンだね。演奏後にたかられると楽器壊れそうだし、子供向けの曲やったって練習になんね〜し」


「ハルトはホントに素直じゃないわねぇ……メチャメチャ優しい顔してたクセに」


「うるせ〜。うざってぇ顔したはずだけどな」


「まぁまぁ、この脚で海でも行こう!たまにハシャぐのもいいだろ?」


「え〜……もう疲れ……」


「行くの!ったくハルトは……リョウタ!海行こ!」


「あいよ!じゃ飛ばすぞ〜!花火花火〜!」


「ちょっとリョウタ!安・全・運・転・ねっ!」


…………………………………………………………


「よぅし到着!」


「はぁ…俺と花火…どう見ても結びつかねぇだろ」


「ハルト、んな事言って、お前が一番多く花火選んでるぞ!」


「矛盾矛盾!ハルトは照れ屋だから、いっつも"あまのじゃくサン"なのよ。ねぇ?ハルト!」


「うるせー」


ったく、まず俺が花火片手にハシャぐってのが不自然だろ。


「ハルトぉ!見て見てぇ!」


ハートとか書いてるし。


「はいはい、見たよ」


俺は花火で石に文字書いてんだ。邪魔すんな。


「ん?ハルト、何書いてんだ?……2005.9.20……あぁ!ジュカとの結婚式な!…おのろけかよ、その顔で」


「どの顔だよ。失礼だな。調度一ヶ月後だからな。記念にだ」


やばい、ジュカまで気付いてこっちに来る。


「なになに〜?うわぁ……ハルト、珍しい!こゆ事やったりするんだね!」


「ふぅ……俺、忘れっぽいからな、こうでもしないと忘れるし」


「あまのじゃく!」
「あまのじゃく!」


ハモるなよ。


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