feel〜優しい体温〜
「ハルト!すぐ救急車呼ぶからジュカに話しかけてみろ!」


車から放り出されたジュカは地面に頭を強く打ち付け、全く意識がない状態だった。


「ジュカ……ジュカぁ……頼むから返事してくれ!」


ダメだ呼吸も無く、脈も感じられない……。


正直、頭の中は真っ白。現実世界で一体何が起こっているのかすら理解出来なかった。




それから程なくして救急車は到着し、搬送中も救急隊員による処置も施され、また呼び掛けもあったが、ジュカの反応は未だに無い。


だが不思議な事に、ジュカと"死"の繋がりは全く感じられない。


というか、自ら頭の中から放り出したのだろう。


ジュカはその後、近くの病院に搬送。しかし……


「もう手の施し様がありません。ご遺族の方を……」


という医師の言葉を聞くと目の前は真っ暗になり、先程まで感じていた身体中の震えさえ完全に止まった。


「おい……ハルト……気をしっかり持てよ?……ハルト?ハルトどこに行くんだ?!ハルト!!!」


俺は抜け殻となったジュカの顔を見ている事が出来ず、外へと走り出した。


病院に着いた頃は雨粒一つ落ちてなかったのに、外は大雨となっていた。


「何だ……ジュカ……泣いてるのか?……戻って来いよ……………………………………………………」
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