feel〜優しい体温〜
いよいよハルト達のコンサートまで、あと三日と迫った日の夜の事。


「お母さ〜ん。ちょっとい〜い?」


「はいはい〜……何?」


「んふふ〜!コンサートに着て行く服選んで欲しいんだぁ!」


「あらあら……後三日もあるのに、すごい気合いの入り様ねぇ」


「そりゃそうだよ〜。自分の知ってる人が出るなんて今までなかったもん!」


「ハルトさん……だっけ?あなた、いい恋してるわねぇ……」


「うんっ!今すごく楽しいよ!」


あれ?私、素直だぁ……。ハルトにも"好き"って伝えた事もないのに……。


「あら、珍しく素直ねぇ。いつも恋愛事になると"あんなヤツ好きじゃない!"って突っぱねてたのに……」


ホント不思議。人の中身を見る為には全く必要のない"視力"なんて物が無くなった分、ハルトの本質に触れてるからかな。


「うん。クラシックとか聴きに行くなら、これぐらいがいいわね。ヒカリ、綺麗よぉ〜!」


「ホント〜?ふふ〜ん!」


ピンポ〜ン……


「あら、お客さんだわ。はいはいはい………」


ん?こんな時間に誰だろ。


「ヒカリ〜!お客さんだよ〜!」


「はぁ〜い!」


「……ちょっとちょっと!……彼、いい男じゃない!」


ん?……ハルト?


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