feel〜優しい体温〜
「それにしてもケンタ君……ラフな格好ねぇ……あ!まだコンサートまで時間あるし、衣裳借りて行こうか!」


「え〜?……僕、このままでいいよ……」


「ケンタ、せっかくだし、おめかしして行こうよ!ねっ?」


「うん……」


「じゃ決定!お母さん、行こっ!」


私達は会場に向かう足で、近くの美容室に向かった。


カランコロン……馴染みのある美容室の扉を開けると、昔ながらの鈴の音が聞こえる。


「おばさん、こんばんは!」


「あら〜、ヒカリちゃんどうしたの?お出かけ?」


「うん!この子の服、ビシッとキメたげて!」


「はいは〜い。う〜ん……この子色白だから……これぐらいの色合いがいいかしら?」


「えぇ!じゃ、それでお願いするわ!ね?ケンタ君!」


「うん。この服、かっこいい!」


ふふっ!ケンタ喜んでる!


あ、今髪型のセットしてんのかな?ブローしてる音が聞こえる。


「はい、おしまい!」


ケンタ、カッコ良くなったかな?


「お母さん、どうなの?」


「うん!いい!ケンタ君、カッコイイわよぉ」


「へへっ!ありがと!え〜と……ヒカリ姉ちゃんのお母さん!」


「お母さんでいいわよ!ケンタ君!」


「え?……いいの?」


「だって、お姉ちゃんのお母さんは、キミのお母さんでしょ?」


「うん!お母さん!」


「良かったね!ケンタ!じゃ、そろそろいい時間だし、ぼちぼち向かいますか!」


…………………………………………………………


< 66 / 76 >

この作品をシェア

pagetop