feel〜優しい体温〜
「うん。仲悪かったみたい。でもね、もし自分が死んだら、ヒカリ姉ちゃんみたいな目の見えない人に自分の目をあげたいって、話しに行ったらしいんだ」


えっ?何それ。承諾をもらいにって事?……私、聞いてないよ……。


まさか……そんなわけないよね?


でも、眼球の提供ってあまり知られてないし、それにすごく近場で亡くなった人らしいし……


うそ……


それが本当だとしたら


この目……この目はもしかして……


動悸が異常に速くなる……


「嫌だ……ハルト……嫌だよぉ……!」


「えぇ?姉ちゃんどうしたの?突然泣き出して……」


「だってハルトが……ハルトが……」


ハルト……どうしてハルトは、いつも私に意地悪ばっかりするの?


せっかく目も見える様になって、"私だって頑張ったぞ!"って、見せてやりたかったのに……


絵だって見て欲しかったのに……


この目がハルトの目だったら……


見せる事が出来ないじゃない……


ハルト……ハルトぉ……!


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