feel〜優しい体温〜
…………………………………………………………
ポンポン……


「うっ……うっ……え……?」


誰かに肩を叩かれ、私が泣き崩れた顔を上げると、目の前には携帯を片手に持った男の人が立っていた。


その人が携帯を私に見せると、その画面にはこう書いてあった。


−どうかしたのか?


「いえ、なんでも……」


てか、アレ?この人も耳聞こえないのかな……


「耳……聞こえないんですか?」


−前から知ってるだろ。


……ん?……アレ?


やれやれ……こうしねーとわからんか。


グイッ……


−俺、死んだらしいな。プププ。


色々な事に気付いた私の心には、嬉しさと恥ずかしさと怒りが生まれ……


そして怒りが勝った。


「コノォ……!憎まれ口叩くのはこの口か?!こ・の・く・ち!!えぇっ?!」


思いっ切り両手で頬っぺたをつねる。


「あででででででっ!」


口じゃねぇ!指だ!指が打ったんだ!つーか勝手に勘違いしただけだろ?!


「……もうっ……」


でもやっぱり、最後は怒りよりも、嬉しさが勝ってしまうわけで……


頬をつねっていた手を解くと……


今度は優しく掌を頬に当て……


唇を寄せた……。


「お帰り…」


「た…だ…い…ま……」


「う、うわぁ!兄ちゃんと姉ちゃん、チューしたぁ!」


「子供は見なくていいの!ハルト!罰として、いろんな曲聞かせてもらうからねっ!」


−ふぅ……特別……な。







こうして、私とハルトの恋は、やっとスタート地点に立つ事が出来た。


ま、頑固な私と、性格の悪〜いハルトの事だから、いつまでも喧嘩は絶えないだろうけど……


ずっとそばにいてあげるよ。


私があなたの

   "ヒカリ"だから。


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