悪魔の連鎖ポイズン・キッス
-この期に及んで、何を隠そうとしているんだろう、由美子さん!?-

気付けば、由美子は壁際まで省吾に追い込まれていた。
そして、最後の一歩、後ろに踏み出し、由美子の背中が壁に触れた時、それを合図に由美子は、身体をびくっとさせながら、今度は由美子が大声で言った。

「そ、そんなに中和剤、中和剤って言うなら、アンタが飲めばいいじゃない!わあああんっ!」

由美子は、積もりに積もった感情を、大粒の涙と言う形で押し出し、顔を伏せる事もせず、ただ、小さな子供が泣く様に、わんわん泣いた。

ふと、この時省吾は、今の由美子が本当に求めている事が何なのか、初めて分かった様な気がした。

…それは、幼なじみのままでは到底理解する事のできなかった事であり、幼なじみと言う関係から、新しい関係に生まれ変わる可能性を秘めた、奇跡の様な、省吾の閃きだったのかもしれない。



そして省吾は…

その閃きを…

自然体で…

行動に…


…移した。
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