青い春と風の中で
職員室から出て、廊下を数歩歩いた所で、自分の担当する教室を聞くのを、すっかり忘れていたことに気づき、サッ血の気が引くのが全身に伝わる。


――私ってば本当に馬鹿ッッ!


足元に視線を落とし、深い溜め息を吐いた。


その溜め息に気付いた新倉が、足を止めると、クルリと方向転換して俯く葵の姿を見て、「…どうかしましたか?」と問いながら、近付いてきた。
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