青い春と風の中で
「――自分の担当する教室を聞きそびれてしまって、何だか恥ずかしくなりました」

そう言ってうなだれると、微笑み新倉は葵の肩に自分の手を置いた。


「…大丈夫、何も心配要りませんよ。篠崎先生は、僕と同じ教室ですから」


「…あ、そうですか。」


ホッと胸をなで下ろしたが、自分の中で疑問が生まれ、先程の言葉を巻き戻しするかのように、頭の中で再生をした。


【…大丈夫、何も心配要りませんよ。篠崎先生は、僕と同じ教室ですから】


――まさか、まさか、まさか……

【……僕と同じ教室ですから】

【……僕と同じ教室ですから】


繰り返し再生されて、やっと整理がついた。


――私、新倉先生と一緒に授業するんだ…。


嬉しいような、恥ずかしいような、何だか複雑で頭の中が真っ白になってしまった。


――これから授業が始まるというのに…



私がパニックになってるなんて知らずに、目の前にいる新倉はニコニコと微笑んでいた。


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