青い春と風の中で
「ちまちゃん、可愛いわね。…でも、何故そんな愛称なのかしら」
《せんせ、それはね…真智子が、ちっちゃくて、歩き方がヒヨコみたぃに"ちまちま"してるからなんだよ》
日浦に聞いたつもりだったのだが、少々背の高くて長い髪をポニーテールにした女子生徒が代わりに答えだした。
「成る程ね、わかる気がするわ」
《らぃちゃん酷いよー》
《あはは、褒めてるのにな。――先生、私は市塩らぃ(シシオ・ライ)宜しくな」
丁寧に自己紹介してもらったおかげで、早く名前が覚えられそうだ。
「――あ、そうだ。あのね…1番奥の窓際に居る男子生徒について聞きたいんだけれど」
やはり、新倉の言葉が気になる。
何も知らないのに"―気をつけて―"と言われても、しっくりこないので、とりあえず、それとなく聞くことにしよう。…先生方に聞くより生徒に聞いた方が確実に正しい情報が貰えそうだし。
先生方が悪い訳ではないけれど、問題児のような生徒に対して偏見のある人から聞いても、きっと悪口ばかり喋りだしそうな気がする。しかも特定の生徒を、個人的なことで調べるのは、教師になったばかりの葵の印象が悪くなるに違いないと思ったからだ。
《せんせ、それはね…真智子が、ちっちゃくて、歩き方がヒヨコみたぃに"ちまちま"してるからなんだよ》
日浦に聞いたつもりだったのだが、少々背の高くて長い髪をポニーテールにした女子生徒が代わりに答えだした。
「成る程ね、わかる気がするわ」
《らぃちゃん酷いよー》
《あはは、褒めてるのにな。――先生、私は市塩らぃ(シシオ・ライ)宜しくな」
丁寧に自己紹介してもらったおかげで、早く名前が覚えられそうだ。
「――あ、そうだ。あのね…1番奥の窓際に居る男子生徒について聞きたいんだけれど」
やはり、新倉の言葉が気になる。
何も知らないのに"―気をつけて―"と言われても、しっくりこないので、とりあえず、それとなく聞くことにしよう。…先生方に聞くより生徒に聞いた方が確実に正しい情報が貰えそうだし。
先生方が悪い訳ではないけれど、問題児のような生徒に対して偏見のある人から聞いても、きっと悪口ばかり喋りだしそうな気がする。しかも特定の生徒を、個人的なことで調べるのは、教師になったばかりの葵の印象が悪くなるに違いないと思ったからだ。