青い春と風の中で
《うん。笹川はね、近付づく女に手当たり次第、手を出しまくるんだ。学校内だけじゃないらしいよ。さすがモテ男だよね。女に困らないんだもの》


市塩は大袈裟に肩をすくめて、溜め息をはいてみせた。


「…でも、教師には手は出さないでしょう?」

《ははっ!有り得ないよー。そんなことになったら大問題だよッッ。今頃はこんな所に笹川は居ないよ〜》


「…そ、そうよね。」

――私ってば、何言ってるのかしら。


「ごめんなさいね、変なこと聞いたりして。」


《大丈夫だよ。それより先生、あいつら言うことは冗談だから、真面目に受け取らない方が良いよ〜。また何かあったら教えてあげるよ》


「あ、ありがとう。――1度、職員室に戻るわね。日誌置いてくるの忘れてたわ」


《アハハ。先生、頑張って〜》


教室を出る間際に、生徒達に手を振られたので、葵は微笑みながら、手を振り返した。


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