青い春と風の中で
右側の窓から太陽の日差しが反射して、キラキラ瞬いている。


「――快晴ね」
足を止めて、葵は外を見上げた。


「――そうだな。」


独り言で呟いたつもりだったのだが、声が返ってきて振り返ったが…誰も居なかった。

「――あ、あれ?」


「…こっちだよ、先生」

階段の隅から、ひょこっと顔を出して手を振っていたのは、先程まで葵が生徒から聞いていた"―笹川春―"本人だった。


「…笹川君、そこで何してるの?」

「――別に…昼寝?」

ふっと人を馬鹿にしたような笑いをする仕草にムッとしつつ、気持ちを落ち着かせる為に溜め息を吐き、視線を笹川に移すと、ズボンに埃が付いているのを発見した。



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