青い春と風の中で
「…やだ、埃だらけじゃない。――もう、こんな所で寝るからよ」

ぶつくさとボヤきつつ、埃を払ってあげていると、笹川が腕を伸ばした。

「――ちょっと、何してるの?」

「…先生の髪の毛、下ろした所見てみたいから」

「――やめなさいよ」

葵は笹川から少し離れると、ハラリと髪の毛が下ろされた。

「あぁ、せっかく髪の毛まとめたのに」
腰まである長い髪を見つめて、肩をすくめる。

「――先生、意外と長いんだね。」

笹川は呟きながら葵の髪の毛に触れる。


笹川の顔が近くにあって、葵は胸がドキンと高鳴る。


――ただの生徒なのに。こんなにときめくなんて。


よくみると長い睫毛、ふわりと柔らかくシャンプーの香りが葵の鼻を刺激する。

そして男の子なのに、綺麗に整った顔立ち……女性が惹かれるのが分かる気がするわ。


「……先生、俺に見とれてるの?」

ハッと我に返り、顔が一気に赤面する。顔が凄く熱いのが分かる。



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