青い春と風の中で
「――先生、そのままでも充分可愛いよ」

「教師をからかわないでッッ」


「――何しているんですか」


背後から新倉の声が聞こえて、葵は振り向く。

「あ、新倉先生……」

「笹川…何をしてるんだ?」


「――ちっ…別に、少しからかっただけだよ。ほら、返してやるよ」


むつくれた表情をして、階段を上がっていく後ろ姿に新倉は腕時計を見つめた後、キツい口調で笹川に声をかける。


「――何処に行くつもりだ。次の授業まで、もう時間がないぞ」


「…うるせぇな、サボリだよ。サボリ。」

「おいッッ……笹川、おいッッ――全く、人に迷惑しかかけられないのか。アイツは…篠崎先生、大丈夫でしたか?」


新倉は溜め息を吐き出すと、ひとしきり愚痴をこぼした後に、葵を見て呟く。


「えぇ…大丈夫ですけど」

笹川に返してもらったクチバシで、髪の毛を丸めて留めた。


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