青い春と風の中で
「――ちょっと何処に行くのよ…」


「もうすぐだから」



そう言って葵の腕を掴んだまま、笹川は屋上へ向かう重い扉を開くと、風がふわりと体中をまとうように気持ち良かった。


「――先生に見せたかった物はコレ…」


そして遠くを指を指す方向を見つめると、裏山の木々が、ほんのりとピンク色に化粧をしていた。


――遠くだけど桜の木が満開で綺麗に見える。


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