青い春と風の中で
「――今は無理だってのは言われなくても分かってる。……だからさ。18になって、この学校卒業する時には……先生、俺と付き合ってくれないか?」


「え……」

呆然と立ち尽くす葵に、笹川は顔を上げた。


「俺、先生のことが好きなんだよ。――一目惚れしたんだ。あの時から……」


「――笹川君」


「――今は、ただの生徒としか見られてないかも知れないけど……俺は、ずっと先生のこと待ってるから」


彼の真剣な告白に、葵は何も言えなかった。


一方的ではなく、ちゃんと相手のことを考えてくれてる笹川の言葉が、葵の胸を高鳴らせる。


私達は黙って見つめ合った…。

ちゃんと適度に距離を取った隙間からは、暖かな春の風が通り抜けて行った――。






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