青い春と風の中で

｢―――笹川、お前なんでここに。｣

(…ち、後少しだったのに。)


唇を噛み、不服そうに睨みつけると笹川はこう言った。


｢俺、ﾌﾟﾘﾝﾄのコピー頼まれたんですよ。職員室に行った時、坂上先生の珈琲こぼしちゃったから、その罰で(笑)｣


そう言って笹川は肩をすくめて、おどけた表情をして舌を見せた後、新倉の隣のコピー機で、印刷を始めていた…。


ガ――ｯｯ……という鈍い音だけが、虚しく鳴り響く。


｢――おーい、笹川。悪いけど…コピーの枚数を間違えてしまいましてね。後、２０枚追加してくれないかい？｣


そう言って、坂上がひょこっと顔を出して、申し訳無さそうに頭を下げていた。


｢坂上先生〜。もう俺、コピーしちゃってますよ。｣


苦笑いする笹川に坂上は、こう言った。

｢…ごめん、ごめん。それが終わったら、お詫びにジュース奢るからさ｣


｢いや、いいっすよ。さっき珈琲こぼしちゃったのは俺だし…｣


｢――じゃあ、終わったら職員室まで届けて下さい。｣


そう言って、坂上は職員室へ戻って行った。