青い春と風の中で
父親と母親が嬉しそうにハシャぐ中で、私は1人だけ春のことを考えていた――。


――春は今頃、ご飯食べているのかな…。

「葵…?どうしたの、ボーっとして。すき焼き食べないのかい」


ハッと我に変えり、首を左右に振って…「――ううん、何でもない。ちょっと疲れちゃったみたい。」


そう言って笑って誤魔化すと、父親と母親は疑わずにウンウンと相槌をしていた。


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