青い春と風の中で
食事が終えた私はテーブルの前で溜め息をついて、椅子に腰掛けたままでいた。


『――ブー…ブー…ブー…』


携帯電話が振動で震えている。


メールではなく、電話で…その相手は――。


「春…」


私はポツリと呟くと、リピングから出て階段を駆け上がり、自分の部屋へと入った。



『――ブー…ブー…ブー…』


まだ着信は鳴り響いたまま…。


「もしもし…」

《あ、葵さん?俺♪》


いつもの明るい声の中に微かだけれど、ジャリジャリ…っと音が聞こえている。


「どうしたの?こんな時間に…」


《いや、ちょっとね…》


フフッ…と含み笑いが電話越しに聞こえて、何か企んでいる様子が伺えたが、それが何かも分からないまま。

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