青い春と風の中で
愛おしい人
「――葵さん。」

「なによぅ…」


カシャン…と、音を立ててブランコから立ち上がる春を葵はチラリと見て直ぐに、ぷいっと横を向いた。


「葵さん、怒ってるの?」

「べ、別に……怒って……」

ふっと柔らかく笑みを零して、優しく見つめる瞳に胸が高鳴り、言葉が止まってしまう。


「そんなに怒ると…可愛い顔が台無しだぜ?」

ちゅっ…と、軽く重なる温かい唇の温もりに、初めてでもないのに恥ずかしくなり頬を染めた。


夜の公園に、ボンヤリと浮かぶ頼りない街灯に葵と春の顔が照らされていて、しばらく見つめ合っていると、春が葵を抱き寄せて耳元で小さく呟いた。


「――その表情…俺以外の男に見せるなよ、可愛い過ぎるから。」


「え…?」


「はぁ……まぢでヤバすぎるから。心配だなぁ。。いっそのこと、もう俺ら付き合わない?」


「――春が卒業してからね。」


「ははッッ!それまで待つしかないか」
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