青い春と風の中で
―――ブー…ブー…ブー…。


ズボンのポケットに閉まった携帯が、振動して震えていた。


携帯を開くと、メール1件の文字が表示されている。差出人は――春からだった。


――――――――――
○○/×/△△8:00
――――――――――
To,笹川春。
――――――――――
さっきはゴメン。
――――――――――




「何、先生の彼氏からメール?」

そう言いながら、石橋は葵の携帯を横から覗き込もうとしていたので、「――秘密よ。」と言った後、石橋から少し離れた。



「秘密ってことは、やっぱり彼氏なんだぁ〜」

石橋は、ニヤニヤと冷やかすように口元を緩めていた。


―――『さっきは、ゴメン』


とても短くて、ぶっきらぼうなメールだったけれど、春の素直な気持ちが現れていた。葵はつい嬉しくて、ふふっ…と小さく笑った。


< 78 / 90 >

この作品をシェア

pagetop