引きこもりの勇者
はじまりの町
「またGAME OVERかよ」

誰もいない静まりかえった部屋に亀井の声がこだまする。


どんガメ…それが亀井の通う中学でのあだ名だ

勉強も運動も、小さいころからてんでダメ、周囲からそう呼ばれるのも納得である。


父親は2年前に他界し、母親は家庭を支えるため毎日朝から晩まで働いている。 


一緒に遊ぶ友達もほとんどおらず、やることといえば、こうして毎日テレビゲーム機のコントローラーに手を伸ばすくらいだ。


(はは、何かもう俺の人生もGAME OVERみたいなもんだな)


そんなことを心うちに思いながら亀井は真っ白なベッドに寄りかかった。


テレビ画面がコンティニューの文字を表示している。


テレビゲームは簡単だ。
リセットボタン1つあればいつだって最初からやり直せるのだから。
< 1 / 8 >

この作品をシェア

pagetop