見えない ラブストーリー
「そ。生まれつきね。
だから、俺がどんな顔かも
この土手の風景も、空も、木も草も
それから、君の顔も。
全然分からない。」
彼はニッコリ笑うと、彼女の頭に手を置いた。
「でもね、こうやって君の気配を感じる事はできる。
目は見えないけど、その分感覚が人より優れているのかもね(笑)
だから、君の声を聞くだけで
君が何を考えてるのか分かるんだ。
なんとなく、ね?」
「・・・っ」
なんて言ったらいいのか、分からなかった。
すごく、複雑だった。
なのに、胸の奥がぎゅっとした。
ー本当のわたし・・・
彼には見えているのだろうか。