好きな人はスカウトマン。
あたしが大好きだった声が、派手な感じの女の子を呼び止めている。



あたしに向けられていた笑顔が、今は違う女の子に向けられている。




別れた人なのに、やっぱりあたしの中で圭太はまだまだ特別な存在で、勝手かもしれないけど、ショックだった。



圭太に気付かれないように、うまく人混みの中に紛れようと思い、一緒にいた友達の手を取って逃げようとした。



「ちょっと美雪!? どうしたの!?」


戸惑う友達の声が意外に大きくて、あたしは焦った。

「いいから、こっち来て!」


でも、遅かった。
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