好きな人はスカウトマン。
新宿。


人が多くて歩きにくい街。


あたしはこの街がどうしても好きになれない。


多分これから先も、ずっと。


でも、ここに行けば圭太に会えるかもしれない。


そう思って、いつも地下を歩くあたしの足は、自然と地上への階段を上っていた。


約束しなくても、メールを返していなくても、偶然を装って会えるかもしれない。


そんなバカみたいに回りくどい事を、なぜかあたしはしようとしていた。


また圭太のスカウトをしている姿を見なければならないのに。


それでも、また会いたいと思ってしまった。
< 15 / 69 >

この作品をシェア

pagetop