好きな人はスカウトマン。
「もう寝てた?」

ボタンを押すと、圭太の優しい声が聞こえた。


「寝てない!! 家、着いたの?」


「うん、30分前くらいに着いてたんだけど、ずっと電話してて、連絡出来なかった」


「そっか……」



「ちゃんとバイバイ出来なくてゴメンな」


「あ、あたしこそ何も言わないで帰っちゃってゴメン。圭太電話してたから」


「気を遣ってくれたんだよな。ありがとう」


「ううん」



圭太の優しすぎる声が嬉しくて、涙が溢れてきてしまった。



泣いている事に気付かれないよう、携帯を少し口から離した。
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