好きな人はスカウトマン。
「それって、利用されてるだけじゃないの?ちゃんと付き合ってるの?」


言いたくなかったけど、あたしは由佳の為だと思って、そう言った。


「ちゃんと付き合ってる、と思う。だって〜……」


そう言って、由佳は右手の中指にはめられたリングを見せてきた。


「これ、誕生日にくれたの〜!グッチのリング。結構高いし、付き合ってるからくれたんだよ〜。利用してたらこんなのくれないでしょ?」



あたしは返す言葉に困ってしまい、ただ頷いた。

客観的に聞いている限り、とても付き合っているとは思えなかった。
< 59 / 69 >

この作品をシェア

pagetop