好きな人はスカウトマン。
「あ……」



サーっと血の気が引いていくのが分かった。



「もしもしぃ?誰?」



初めて聞く声が、あたしの頭を混乱させた。
何もしゃべれなかった。



「何これ?いたずら電話かな?」



「おい!何勝手に電話出てんだよ!!」


女の子の後から、圭太の声が聞こえてきた。


「もしもし?すみません、お電話代わりました」



「圭太……」


あたしは圭太の声にホッとして、やっと言葉が出てきた。



「美雪!?」


圭太は驚いて声を上げた。

慌ててあたしの名前を口走ってしまった。
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