涙色のlove story
「ねぇ、耀介ぇ!
ここに前耀介からもらった
カバン置いてなかった??」
あたしは机を指差す。
「あの白いカバンの事だろ?
最初から置いてなかったぞ」
耀介もカバンの行方がわからないみたい。
「え~、なんでないのさぁ!!
あれ超お気に入りだったのにぃ!!!
さっきここに置いておいた
はずなのになぁ…」
机の横や下などをくまなく探す。
やっぱりカバンはどこにも見当たらない。
さっき出したはずだけど、
疑いながらも
いつもカバンを保管してある
クローゼットの扉をあける。
すると…
クローゼットの中に例のカバンがあった。
「耀介、カバンあった…」
「お、よかったじゃねぇか!!」
あたしはいやな予感がした。
クローゼットの中に
カバンがある事を忘れていた…
若年性アルツハイマー症の病状の一つ、
“記憶力の低下”