素直になれば


「依緒ちゃん、いやなんぢゃないかな?秀がいつも、あたしと行き帰り一緒なの。」





「でもさ、結構仲いいヤツと目的地一緒で、なのに知らんぷりして行く方が、ヘンぢゃね?部活同じなんだから、時間だってずらせねぇし。」




秀はなんでもないように言うけど、あたしは、そんなに軽く言っていいようなことぢゃないような気がした。




だって…。
この間、依緒ちゃんがあたしに『秀のこと好きなの?』って聞こうとした、あの日。
あの日、秀とあたしが急に距離が縮まったように話す姿を見た時の依緒ちゃんが、すごくすごく、辛そうな顔をしてたから。

誰だって、自分だけを見ててほしいもん。



あたしだって、そうだもん。
逆井先輩に、あたしだけを見ててほしいもん…。



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