素直になれば

ズキン…。


その優しさの溢れる行動が、あたしからしたらとても、辛い。




秀と二人になった瞬間、少し気が抜けて、大きく溜め息をついた。




「なぁ、里愛?」




「ん?」




「里愛ってさ…。逆井先輩のことスキだろ。」




「えっ?」




その一言に胸が飛び跳ねて、隣に座る秀を勢いよく見た。





「え…。図星?」





悪戯に笑う秀を見て、少し恥ずかしくなった。




なんで?
どうして分かったの?
あたし、バスを待ちながら秀には笑い返したはずだよね?
逆井先輩とだって、必要以上に話してないよね?
部活中は、マネージャーの仕事に集中してるよね?




あたしの頭の中で、一瞬にしてたくさんの疑問が飛び交った。


< 65 / 106 >

この作品をシェア

pagetop