素直になれば
ズキン…。
その優しさの溢れる行動が、あたしからしたらとても、辛い。
秀と二人になった瞬間、少し気が抜けて、大きく溜め息をついた。
「なぁ、里愛?」
「ん?」
「里愛ってさ…。逆井先輩のことスキだろ。」
「えっ?」
その一言に胸が飛び跳ねて、隣に座る秀を勢いよく見た。
「え…。図星?」
悪戯に笑う秀を見て、少し恥ずかしくなった。
なんで?
どうして分かったの?
あたし、バスを待ちながら秀には笑い返したはずだよね?
逆井先輩とだって、必要以上に話してないよね?
部活中は、マネージャーの仕事に集中してるよね?
あたしの頭の中で、一瞬にしてたくさんの疑問が飛び交った。