素直になれば
「教えろよ〜!」
「ふふっ。ようするに、自分の気持ちに気付きなさいってこーとっ♪まぁ、後々だけどねっ!」
そう笑う沙那は、やっぱり意味わかんねぇけど、いつもの沙那に戻ってくれたことが嬉しかった。
「ぢゃああたし、そろそろ教室戻るね!」
「おう。またな!」
沙那は笑顔で手をふって教室を出て行った。
俺たちは別れたってことになるけど、この前のような哀しさはもうない。
俺たちには過去があって、未来もある。
その未来にも、過去のような、もしくはそれ以上の存在になった、沙那がいるかもしれない。
俺は、弱々しくなった雨を見つめながら、里愛ちゃんに心から感謝した。