AKIRA


 でもでも、京子が悪いんだぞ、たぶん「アキも好きな人がいるでしょ」とかなんとか言おうとしただろ?!



「ぷはぁ――――っ!」



 ああ苦しかった、と笑いながら、京子は「ごめんね」と呟いた。

 何でみんな謝んだよ、何も悪い事してねぇじゃん。

「あ、でも俺もショック~つうか、はは」

 佐々木が頭を掻きながら、何やら横ではにかんでいた。

 何がショックなんだよ。京子の方がショックだっつうの。それに俺だって……陽の前で、あんな事……あ、くそ、だんだんイライラしてきた。

 そうだよ、啓介の奴、悪ふざけで俺と京子をここまで傷つけやがって!

「俺も長田の事、ちょっといいなぁって思ってたし……」

 は? 何だ、告白タイムになったのか?

 そっか、佐々木も同じく、傷ついてたのか……アイツのせいで、みんな傷ついて……でも。





――なんとなく羨ましいかも。





 俺は何も言えずに、ただ黙っていつも見てるだけだ。こいつらみたいに、顔や口に出して堂々とできねぇ。

 俺には自信がない……想いをさらけ出してしまった時に、平気でいられるかどうか……。



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