AKIRA


 今はもう、誰も俺に構うな!

 そんな態度を周りに示していたと思う。

「あ、なんか気にしてる? アキ」

「え、あ、いや、その」

「大丈夫よ、私。服部君にライバル多いの知ってるし、しかも好きな人がいるなんて普通だし、だからって、私、諦める訳じゃないし」

 長田、強いな。

「え、何? やっぱ長田って服部好きなの?」

 今頃何言ってんだよ、佐々木の奴。ばかみてぇ。

「うん! 大好き!」

 お前もはっきり好きって言えるんだ……それに引き換え、俺は……。

「へぇ、なんかごめんね、俺、余計な事言っちゃったみたいで……まさか、こうなるとは」

 そうだよ、全部お前のせいだろ。お前なんか早く購買行ってればよかったんだよ。なんでいつまでも居座ってたんだよ。

「加藤も、ごめん」

「え?」

「だって、長田とせっかく仲良いのに」

「何言ってるの?! 私は好きな人がアキを好きでも嫌いになんかならないよ!」

「……京子」

「あ、アキ?」

「あれ、啓介の悪ふざけだから……あいつとは幼馴染で、なんでもねぇよ、だから」

 だから? ただそれだけ?

 悪ふざけであんな事出来るかっての……マジで晶って鈍いのか。

 ただの幼馴染なら、どんなに良かったか……。

< 113 / 172 >

この作品をシェア

pagetop