AKIRA
誰もいない教室に一人。
「静かだな」
俺はポツリと漏らすと、ようやく上半身を起こした。
そして、俺は誰の視線も気にすることなく、隣の席を見つめる。
晶、俺はお前に、この気持ちを言ってもいいのか?
なんでここまでお前を好きなのかなんて――……たぶん、理屈なんて何もないんだ。
意地でもないし、嘘でもない。初めて会った時からお前しか見えない。
お前の傍に居るだけで、ドキドキして、ただ嬉しくて、それは昔から変わらなくて。
優しさに触れた時から、もう、お前しか、いらなくて……。
『俺はお前とは違う』
違う……服部と俺、なにが……違う?
俺はただ、はっきりと気持ちが言える服部に嫉妬しているだけなのかもしれない。俺は、アイツと同じ土俵に上がってもいいのか?
アイツは素直に、晶が好きだって言ってる。その点俺は素直じゃねぇ……そこが違いだろ。でも、俺には言えない。
晶が……あのアキラだって認めてくれない限り、前に進めないんだ。
もしかしたら、迷惑なんじゃないかって思えるんだ。
でももし、晶が久しぶりに会った時点で『俺、アキラ、覚えてるか?』とか言ってくれてたら、少しは違ったか? そしたら今は、自然に昔みたいになってたか?
俺は、気持ち言えてたか?
晶はなんで、そんなに隠したがるんだよ。
「って、俺、どうしようもねぇな……」
俺、こんな時にまで晶のせいにしようとしてる。
ちきしょう!
言えないのは俺も同じ……晶が、隠したい過去だからじゃない……俺に、勇気がないだけじゃんか!
俺は、ゆっくりと立ち上がり、晶の机の横に立つ。そして、その机を撫でた。
気持ちが溢れて仕方がない。
欲しいのは、お前だけ。
「……晶……俺は、お前が……好きだ……」
誰もいない教室で、俺は一人、呟いていた。
~ 告白:陽side FIN ~