AKIRA
だって、現に、ああいう風に啓介に言われたところで、全然ドキドキしねぇし、昔から肩組むとか普通だし。
ほ、ほほ、ほっぺたにキ、キ、キ、キスされたって、う、嬉しくねぇし!
なのに、アイツは違ったのか?
俺の事、そんな風に見てたって言うのか?
女として?
そう考えたら、急に恥ずかしくなってきた。バカ啓介、アイツのせいだ!
くそ、くそ、くそっ!
「アキ?!」
それでもしつこく啓介が呼んでるもんだから、なんかむしゃくしゃして、一言文句言ってやりたくなった。
俺はズカズカと足を踏み鳴らして、また啓介の方へ歩み始めた。
「やった、アキ来てくれた」
そう言った啓介の肩を掴んで引き寄せる。
「てめぇ、うるっせぇんだよ。いい加減にしろよっ」
そう、耳元で言ってやった。でも、啓介は嬉しそうに微笑む。
「なんか昔のアキみた~い」
なんか力抜けるな、こいつには……。
「だぁかぁらぁ、俺はお前のファンに目ぇとか付けられたくねぇの。察しろよ、タコ」
「え? やきもち?」
「ちげぇよ」
なんでそうなるんだよ!