AKIRA
何か耳元で話している。でも、会話なんか聞こえねぇ……つうか、なんでそんなに近くで話す必要あるんだ?
「あ、やだ、あの二人、もしかして出来てるのかな」
出来てるってなんだよ、それは付き合ってるとか言いたいのか? ムカつく事言うなよ。
「あは、お似合いじゃない?」
冗談じゃねぇ。
「木下、お前、いつまでここに居んの?」
「ええ? なんで? 休憩終わるまで?」
俺は大きくため息を漏らした。
「うぜ」
なんで、俺の横に居るのが、お前なんだよ。
そうこう気になりながら思っていると、晶が、ちらりとフェンスの方を見た気がした。そして、そのまま、また服部の耳に唇を近付ける。
――晶っ!
俺は、その行動の訳がわからないまま、手に持ったタオルをギュッと握りしめた。
面白くねぇ、全っ然、まったくもって面白くねぇ!!
服部は、晶に向かって笑顔でVサインなんかしてる。
すると、突然、真剣な表情で何かを呟いたようだった。その瞬間、晶の顔が真っ赤に染まって、慌てて女子ベンチに走っていった。
なんで動揺してんだよ。
なんて言った?
なんて言った、服部?