AKIRA
「えっと、俺のクラスに……」
アキラの名前を探してた、なのに。
「陽! 同じクラスだよ! 行こっ!」
そう言って、アキラの名前を確認する事も出来ずに、俺の腕を引っ張る木下。
「六組だよ」
「お前帰れ」
思わず口を衝いて出てしまった。帰れっても、こいつも入学してる訳だし、それは間違ってんだけど。
「何でよ」
「何・で・で・も!」
「あ、おはよう沙希! あ、美紀もいるぅ、いいなぁ同じクラスなの?」
そう言いながら、木下は他のクラスの同級生に挨拶しながら俺の後を付いてくる。
「亜美だっていいじゃん、また旦那と離れずに同じクラスでしょ?」
旦那とか言うな!
どっかにアキラがいたらどうすんだよ!
聞かれたくねぇ!
「へへ、そうなの~」
お前も否定しろっ!
紛らわしい……もうこいつ知らね。
俺は木下から離れて、さっき聞いた六組を目指した。
ちょこちょこと他のクラスを見流しては、アキラがいないか確認する……って、俺、どんだけアキラ依存症?
そう思いながら六組の前に着いて、途端に俺の体が止まる。
――嘘だろ。
目の前に、ずっと探してたアキラの姿がある。
これは夢か、幻か?