AKIRA
陽side
~ 指名:陽side ~
「てめぇ、汚ねぇぞ!」
いきなり服部に指をさされ、汚いと言われる覚えは…………ある。
「汚くねぇよ」
俺はそっぽを向いて答えてやった。
「まぁまぁ」
「絶対に汚ねぇだろっ!」
寺倉先輩を挟んで言う事じゃねぇんだけど……服部は思い切り俺の胸倉を掴んで揺さぶってくる。気持ち悪ぃんですけど?
「なに、お前らっていつもガキみたいな喧嘩してるのな」
「ガキじゃないです!」
服部は全力で否定したけど、俺は、まぁ、そうかな、と。
前の球拾いといい、今回の事といい……決して大人って言えるもんじゃねぇかもしれない。つか、俺らまだ高校生だし、ついこの間まで中学生だったし、ガキって言われても仕方ない訳で。
「それより、なんで先輩、許しちゃったんですか?!」
今度は怒りの矛先を寺倉先輩に変えた。でも、さすがに先輩に胸倉は掴めないらしく、ぐっと両拳を握って我慢してるみたいだ。
服部の怒っている理由、それは、俺が晶とミックスを組むからだ。
俺も服部も、ついでに晶もシングルだった。でも、それじゃ、俺はいつまで経っても晶と一緒になんて出来ない。
だから、俺はこの前、寺倉先輩に頼んだんだ。
俺を、シングルからミックスに変更してくれって……。
俺はダブルスも経験済みだし、その後はずっとシングルで戦ってきた。でも、これを機にミックスも経験してみたいって言ったら、あっさりオッケーを貰った。
それで、相手も、全中優勝してる晶の名前を出したら、これまた即オッケーだった訳で。