AKIRA
いや、これは現実だ。
俺の心が躍る。走り寄って抱きしめたい衝動に駆られる。
でも、いや、待て俺。
落ち着け。
静かに深呼吸して、俺はただ、アキラを見つめた。
変わらない、綺麗なままのアキラが、そこに居る。
それだけで、なんだ、この幸せな気分は……。
「誰か探してるの?」
「え?」
「だって、さっきからキョロキョロしてるし」
「いや、特に……南小の奴、いねぇかな~と思って」
――アキラ……。
「ふぅ~ん」
「あのさ、さっきから気になってたんだけど……」
「なんか、カトって、男の子みたいな喋り方だね」
どんな喋り方だっていい。お前はお前だ……俺にとっては、そんなもん邪魔にならねぇ。
「え?」
「ん、なんとなく」
「き、きのせいだ、よ」
「そうかな?」
「ん、でもカトってなんか格好いいから違和感ないや。あ、格好いいっていうか、綺麗系?」
そうだな、マジで綺麗になったよ、アキラ。俺が想像してた以上に、お前は綺麗だ。
「きっ?!」
「あ、カト可愛い、赤くなってる」
可愛すぎる、マジで可愛すぎる! ちょっと褒められたくらいで赤くなって、俯いて……アキラ、俺を見ろ……昔みたいに、俺だけを見てろ。
「ちょっと! アキラ! 何ボサッと突っ立ってんのよ~早く教室入りなさいよ、入れないじゃない!」
「あ、ああ、悪ぃ」
うるせぇな、木下の奴……せっかく久しぶりに会ったアキラを見て感動してたのに。