AKIRA
俺はそんな事を思い不機嫌なまま、席を探した。江口、江口……って、マジで?!
アキラの横だよ、ラッキー! こんな時マジで神様って信じるぜ。
そそくさと俺は机にカバンを置いて、全神経が向いてしまっているアキラの席を見流した。
『加藤 晶』
これも、アキラって読むんだな……はじめて知った、アキラ以外でのお前の名前……晶か……。
「あ、私の席、ここだ。アキラと近い、やった」
そう言って木下は、さっそく俺にちょっかい出してきやがる。何でお前まで同じクラスなんだよ、俺、下手に誤解されたくねぇんだけど……。
「まぁた、木下と同じクラスかよ」
でも、そんなこと気にしてない振りで、こいつは関係ねぇんだよって示しとかなきゃな。
「またって何よ、またって。いいじゃない、これも運命なのよ」
こいつマジであほだろ。
「何が運命だ、頭おかしいんじゃねぇの?」
「おかしくないもん!」
「お? また陽と亜美は同じクラスかよ、仲良いねぇ」
ちっ。
俺は心の中で舌打ちをした。
佐々木の奴まで、変な茶々入れやがって。
「勘弁してくれよ」
俺は、参った、という風に頭を抱え込んだ。
頼む、誤解しないでくれ。俺は木下とそういう仲じゃねぇから。
「いいじゃねぇかよ、お前ら家も隣なんだし、これも縁だと思って諦めな」
馬鹿だろ、こいつら。
「何を諦めんだよ、ふざけんな」
それ以上何も言うなよ。
ただでさえ、幼馴染とか、俺の周りに女いますって感じは嫌なんだからな。
晶にだけは、知られたくない。