AKIRA

 そう思って、俺はため息を吐くと、木下を通り過ぎ、持っていたカバンを机に置いた。

「お前には関係ない、帰れ」

 そんな言葉を吐きながら、木下に背を向けた。

 だけど、背後で木下が動く気配を感じる。出ていくんだと思ってた。でも、そのまま背中にドンっという衝撃を受け、木下が俺にしがみついたんだってわかった。

 こんな事されても、俺はお前に何も思わない。

「離れろ」

 俺は冷静にそう言ったが、木下は俺の背に顔を埋めたまま動かなかった。

「いい加減に……」

 そう言い、木下の腕を振り払おうとした時だ。振り向いて、木下の肩を掴み、体を放そうとした。なのに、不意を突かれ、木下は思い切り俺を押し倒した。

 一瞬の事で俺はバランスを崩す。そして、そのまま脇にあるベッドに倒れ込んだ。

 俺の上に、木下がいる。

 今にも泣きそうな顔で、俺を見つめている。

「どけよ」

 それでも、俺は甘い顔はしない。

「いや」

「お前とこんな事する気ないね」

 そう言っても、木下は俺の上からどかない。

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