AKIRA
姉貴の言うとおり、俺は木下を傷つけた事には変わりないんだから。
「しかもあんた、いつも相手の意志何も考えないなんて女の敵じゃない!」
「なんでそうなるんだよ」
「だってそうでしょ?! あんたが言う『初めて』だって、寝てる子相手にキスしたじゃない!」
「なっ……!!」
俺の顔が一気に赤くなっていった。なんで知ってるんだ、姉貴の奴!? なんで?!
「おま、盗み聞きの前は盗み見かよっ!!」
こんな、恥ずかしさ極まりねぇ!!
「失礼ね、どっちも偶然よ」
そう言いながら、姉貴は俺の部屋に足を踏み入れ、窓際まで歩いた。カーテンが閉められたままの窓に近付き、それに手をやる。
「ちょ、なにす……」
あ、よせ……カーテンは開けるな。
でも、動揺しきって声が出ない。あたふたする俺なんか無視して、姉貴は容赦なくカーテンを開けはなった。
「ここもいつも閉めたまま、むさ苦しいったらありゃしない」
そう言って、俺を見流す。
よかった、まだ隣の主は帰ってきてないみたいだ。