AKIRA
 あ~やべぇ……つか、ここんところ『やべぇ』って事ばっかだな。昨日、亜美に突き飛ばされて捻ったんだ、ったく、ついてねぇよ。

「お前、今日も部活だろ?」

「ああ」

「そんな足で大丈夫なのか? 今日くらい休めよ」

「いや、いいよ。どうせ大したことないし……それに、昨日より痛みは引いてんだ」

「そうか、無理すんなよ?」

「ああ」

「なんたって、俺の大事な一人息子だからな~」

 まだ言うか、このくそ親父。お前のせいで今、どんだけ苦労してると思ってんだよ!

「はっはっはっ、冗談冗談、お前最近綺麗になったもんなぁ~」

 言いながら俺の肩を叩くのやめろ、足に響く。

「はぁ?!」

 親父が、からかうように俺の耳元で囁く。

「恋でもしてるのか? うひひ」

「ばっ!」

 ばっかじゃねぇの? なにが『うひひ』だ。マジでバカ野郎、って相手する気力もねぇ……恋どころか、失恋したてホヤホヤだっちゅうの!

 傷口に触んな……。

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