AKIRA

 絶対に男だったら放っておかないよな。

 それに、俺、京子の前だと素でいられる。初めて会った時、男みたいな喋り方だって言われたけど、あの後、京子は「無理しない方がいいよ」って言ってくれたんだ。

 だから、俺が言葉使いを直そうとしてるの知って「自然に任せたら、いつか直るよ」って、こんな俺を受け入れてくれたんだ。

 受け入れてくれたって……直す気あんのかな、俺。結局いつも挫折して、相手に受け入れてもらって、直せないままなんだよな。

「最悪、男子のマネージャーになれなくても、女子のマネージャーでもいいんじゃね? 何もしないよりは近くにいれんぞ」

 俺がそう言うと、その手もあったのね、ってポンと掌を拳で叩いてた。

「じゃ、見学にでも行くか? 俺もテニス部希望だし……って、おい?」

 京子は上の空のようだ。なんか変な妄想に入ってんのか。そう思ってると、京子は目を輝かせて「そうね、女子でもいいわね」と呟く。

 やっぱ聞いてなかったか。

「私、少しでも服部君の傍に居たいもん」

 え? 何だって、服部? 陽じゃねぇのか?

「で、カトは何部に入るの?」

「え? だから……えっと、その」

 服部?

 服部って、おい。

「もし何も決まってないんだったら、付いてきて欲しいなぁ……」

 そんな物欲しそうな目で見んな、可愛いじゃねぇか。

「あ、いや、でも……」

 ここはちゃんと聞いといた方がいいよな、うん。



「あのさ、服部って、誰?」



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