AKIRA
「幼馴染だって、家も隣なんだって」
「でも、彼女じゃないでしょ?」
「そうだけど、彼女面してるって噂だよ?」
「へぇ、ムカつくね」
何でお前がムカつくんだよ。陽が選んだんなら認めてやれよ。って、俺も同じか。きっと思ってなくても体が反応するんだ。
さっきの胸のキュってやつがなくなって、今度は息が出来ないくらいに押し潰されそうだよ。違う意味で、苦しい。
今、陽が見てるのは、俺じゃなくて……亜美なんだって思ったら。
帰りたい……もう、ここに居たく、ねぇ。
「服部君、いないなぁ」
ぽつりと京子が吐きだした。
ああ、そっか、俺は今、京子に付いて啓介を見に来てるんだった。一人で帰ったら京子に悪ぃ……。
「あれ?!」
ふいに、後ろから声が聞こえた。なんか、聞き覚えのある、声。そう思って振り向いた。
「なっ、けいすっ……!」
あわわわ、やべぇ、隣に京子がいるんだぞ。名前で呼べるかっ!
そこに居たのは、京子のお目当ての啓介だった。きょとんとして俺を見てる。
「お前、もしかして……」
そう言って啓介が、俺の両肩をがっしりと掴んだ。