AKIRA

 ややや、や、やめろ、啓介、京子が見てる! それに、陽も……。

「お前、あきっ……!」

「言うなっ!」

「……ふがっ……!」

 俺は慌てて啓介の口を両手で塞いでしまった。そう、しまったぁぁぁっ!!

「カト??」

 京子の不安げな声が聞こえた。

 ああ、ヤバイヤバイ、マジでヤバイ。

 ちらりと、陽を見やる。あ、やっぱ見てる。

 俺は恐る恐る、啓介の口から両手を放した。

「……カト……って?」

 啓介が不思議そうに呟いた。

「ああ、加藤だからか、へぇ、でもアキ……」

「ちょ、ちょっと!!」

 啓介が俺の名前を言う前に、その腕をグイッと引っ張った。

「へ?」

「こっちにこ、いや、来ていただけますっ?!」

 そして、その場から逃げだす。

 ああ、やっぱ陽見てるよ、こっち見てる。でも今は、こいつをこの場から引き離すのが先決だ!

「いや、おい、待て。俺も部活に……」

「いいから!!」

 不安そうな京子も目に映る。

「京子!」

 俺は、京子にも来るように呼んだ。すると、京子は一瞬困った顔をしたが、俺の後に付いてきた。



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